衝撃波による結石破砕術の反復施行が腎機能に及ぼす影響について

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01570902
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 岸本 武利 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00047078)
• 研究分担者: 越智 宏暢 大阪市立大学, 医学部, 助教助 (70047067) ; 船江 良彦 大阪市立大学, 医学部, 教助 (00047268) ; 坂本 亘 大阪市立大学, 医学部, 助手 (00215667)
• キーワード: Shock wave / 体外衝撃波結石破砕術 / 尿路結石症 / 腎機能 / 衝撃波の生体への影響

研究概要

我々は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)施行時の衝撃波の生体に及ぼす影響について検討を加えて来た。特に結石破砕力に優れるhigh energy shock waveは生体各組織に一時的であるにせよ病理学的並びに機能的影響を与える。特に腎結石、それも長径3cm以上の結石では1回以上のESWLが必要とすることが多くshock waveの被爆量も大となる。腎へのshock waveの暴露は腎血流を減少させた。それは組織損傷、浮腫による直接作用と液性因子(化学伝達物質)による間接作用によると考えられる。液性因子は被爆されない対側腎機能に影響を与え、腎血流量を処置側と同程度に減少させた。さらに尿細管機能の一時的障害も起ることを臨床的、実験的に確認できた。同一腎にESWLを繰り返し行うと、腎組織障害が増強され中には腎機能低下が起こること、また腎性高血圧の発症の可能性があることが示唆された。従ってESWLを行う際、特に破砕困難な結石(例えばシマチン結石)、1回の治療では不十分な結石(例えばサンゴ状結石)を治療する際highenergy shock waveを使用することが多い。その際には治療計画を慎重に決めるべきである。即ち1回のshock wave数は2500発以内、次回のESWLまで最低4週間あけた方が良いと考えられる。

研究成果

• [文献書誌] T.KISHIMOTO,K.YAMAMOTO,T.Sugimoto et al: "Side effects of extracor poreal shockーwave exposure in potients treated by extraearporeal shockーwave lithotripsy for upper urinary tract stones." Ear. Urol.12. 308-313 (1986)
• [文献書誌] T.KISHIMOTO,M.Senju T.Sugimoto et al: "Effects of high energy shock wave exposure on renal function during extracorporeal shockwave lithotripsy for kidney stones." Ear.Urol.18. 290-298 (1990)
• [文献書誌] 飯盛 広記,千住 擦明,杉本 俊門,岸本 武利: "衝撃波の腎に対する影響についての実験的研究" 日泌尿会誌. 81. 400-407 (1990)
• [文献書誌] 坂本 亘,岸本 武利,山本 管介,杉本 俊門: "尿路結石症におけるESWLの治療経験ー2囲以上のESWLを要した症例の要因とその治療成績ー" 日泌尿会誌. 81. 589-592 (1990)
• [文献書誌] S.WADA,T.KISHIMOTO M.NISHISAKA,et al: "Effct of high energy shock wave on human maliynant urological cells." Jpn J.Endourol.ESWL. 3. 135-138 (1990)
• [文献書誌] S.Wada, T.Kishimoto Y.Ameno, et al: "Immune response of molithiasis patiens treated by extracorporeal chock wave lithotripsy or TUR." Shock wave lithotripsy ed. by J.E.Lingeman D.M.Newman , Plenum Pulilishiny Co. 1989.11-14 (1989)