研究概要 |
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)における衝撃波の生体への爆露が生体に及ぼす影響については多くの報告がある。我々もDornier HM3を用いてhighーenergy shock waveの腎への影響をイヌを用いたex vivo実験ならびに腎結石患者での臨床治験において検討した。 ex vivo結果:17Kv,1μ/secの衝撃波(SW)の照射により、microsphere法ならびに99mTcーDTPA renogramの初期曲線分析から求めた腎血流量の低下が起こり、500shots以上で有意の低下が見られ、2,000shostまでshot数に比例して低下する。DTPA renogram上のTmax及び排泄相のT1/2の有意の延長を認めた。これら変化は術後4週間まで認める。この間のESWLの反復施行はこれらの変化を増悪させた。組織学的には照射部位の実質、特に傍尿細管間質の出血と同部位の尿細管上皮の変性を認めた。 in vivo結果:腎結石患者を選びESWL前後の尿中細胞逸脱酵素活性、尿中小分子量蛋白(β2ーmicroglobulin,a_2ーmicroglobulin)の測定、ならびに99mTcーDTPA renogramにて腎機能変化を検討した。ESWL後照射側腎血流のみならず対側腎の血流も低下した。ESWL術後すぐ血尿と共に尿中NAG,LDH,γGPTの活性が上昇し、術後4日目までに回復した。一方、尿中小分子量蛋白の出現も起こり、この異常高値は4日以上継続した。これらの変化は尿路感染症を合併している患者に強く出現し、1〜2ヶ月毎の反復施行において不可逆的腎障害を起こす場合が約10%の患者に認められ、障害の程度は施行回数ならびに総SW爆露数に比例した。 結論:腎のSW爆露は明らかに組織障害(挫傷、出血、乏血、壊死)を起こし、その障害の程度はSWのエネルギ-とshot数にほぼ比例する。危険因子として尿路感染と尿路閉塞があり、感染が最も重要な因子である。SWの腎への反復照射は最低4週間をあけ、危険因子の存在を出来るだけ少なくするべきである。
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