1.奨励研究(昭和63年度)より継続した検討から、妊娠第17日目がBrdUを妊娠ラットに投与して、その胎仔卵細胞をパルス標識するのに適切な時期であることが判明した。2.更に抗BrdU抗体を用いた免疫組織学的手法により、以下の事実が得られた。1)在胎17日目にBrdUで標識された胎仔卵細胞は、生後1、2、3、4各週においても、その核内に安定した標識状態を維持していた。2)同時に標識された胎仔肝細胞は生後も分裂を続け、生後2週以降はBrdUが検出されなくなり、BrdUの希釈分配が確認された。3)BrdUの標識は、大部分が顆粒膜細胞層を伴わない原始卵胞に認められた。BrdU標識化卵胞集団の発育分布は、生後1週で原始卵胞に100%存在し、生後2週で96.3%、生後3週で46.7%と次第に顆粒膜細胞を1層伴う初期発育卵胞への移行がみられたが、胞状卵胞にまで発育していたものは生後2ー4週で1ー2個であった。3.以上より、BrdU同時標識卵胞集団(cohort)作成への見通しが得られた。
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