研究概要 |
Pー450HFLa及びPP4に対するenzyme immunoassay(EIA)を組立て,健常男女血中正常値,月経周期及び妊娠中における変動,更に各種婦人科疾患における治療前血中高値率を検討した。尚,EIA法はsolidーphase competitive法によった。結果は以下の如くである。 1.Pー450HFLa (1)健常男女における正常上限は3u/ml(平均+2σ)に設定された。月経周期による変動は見られず,妊娠初期・中期には陽性率も50%以下であったが,妊娠末期には93%に達した。羊水中では正常範囲内であり,絨毛からの羊水への分泌は否定的な結果であった。 (2)子宮内膜症を除く良性婦人科疾患では10%以下の低治療前血中高値率であったが,卵巣悪性腫瘍や「子宮体癌」では100%の治療前血中高値率で平均値も18.0及び11.4u/mlを示し,「子宮体癌」の腫瘍マ-カ-として臨床応用可能である事が示唆された。 2.PP4 (1)健常男女における正常上限は10.9ng/ml(平均+2σ)に設定された。月経周期では黄体期に上昇する傾向が見られ,妊娠末期に著しく低下する傾向が見られた。分娩中母体血,及び羊水中で高値をとり,脱落膜より羊水,母体血への漏出が示唆された。 (2)良性婦人科疾患では18%以下の低治療前血中高値率であったが,「子宮体癌」では48%の治療前血中高値率で,Pー450HFLa同様腫瘍マ-カ-としての臨床応用の可能性が示唆された。
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