研究課題/領域番号 |
01570921
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
麻生 武志 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60093176)
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研究分担者 |
鎌田 周作 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80169606)
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50126223)
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キーワード | 生殖 / 卵巣 / 顆粒膜細胞 / 子宮内膜 / 脱落膜細胞 / 細胞培養 / 成長因子 / 細胞内情報伝達系 |
研究概要 |
生殖機能に関連する臓器の細胞機能調節因子と、同一臓器内の異なった機能を有する細胞間相互の機能調節機構に関する前年度までに得られた知見をさらに本質的に解明するために、本年度は以下の研究を行った。 ヒト卵胞液中のinsulin like growth factorーI(IGFーI)とIGFーIIは末梢血中に比して極めて高く、本因子が顆粒膜細胞機能に影響していることが示されたので、ブタ培養顆粒膜細胞へのIGFーIIの作用を細胞増殖、ステロイド産生能、および細胞内情報伝達系の面から検討した。IGFーII添加培養により、用量依存性に細胞数と ^3Hーthymidineの取り込みが増加し、これと並行してestradiol、progesterone産生も促進された。またこの際に細胞内cAMPの上昇を伴ったが、Ca^<+2>には変化が見られなかった。以上の結果は、卵胞液中の高濃度に存在するIGFーIはcAMPをsecond messengerとして顆粒膜細胞のステロイド産生能を促進することを示唆している。 血管内皮細胞由来のpeptideであるendothelinー1(ETー1)は培養卵巣顆粒膜細胞の細胞内Ca濃度を変化させる因子であることは前年度までに証明したが、その生物活性の究明には受容体の存在と特異性を明かにする必要がある。Competitive binding study、affinityーlabelingによりブタ顆粒膜細胞ETー1受容体の特性と、ETー1刺激に伴う細胞内Ca^<+2>とinositol phosphate動態が明かとなり、ETー1の顆粒膜細胞機能に対する作用機序の一端が判明した。また、ETー1のprogesterone産生への影響は作用時間の経過に伴って促進から抑制へと変化することが明かとなった。 その他、ヒト妊娠初期脱落膜に対する刺激の特性に応じて、細胞内のprotain kinase Cの活性化とCa^<2+>の変動が起こり、本細胞の機能調節における細胞内情報伝達系の特異性が示された。
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