研究課題/領域番号 |
01570935
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
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研究分担者 |
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 助手 (00225947)
前田 博敬 九州大学, 医学部, 助手 (20199631)
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
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キーワード | ヒト胎児 / 胎児心拍数 / Beatーtoーbeat difference / 確率密度図 / 心拍数制御系 / 水頭症胎児 / 無脳児 |
研究概要 |
われわれは従来の心拍数陣痛図に換わる胎児心拍数の定量的な記述法として確率密度図を考案した。本法を用いて正常ヒト胎児から得られた妊娠週数毎の確率密度図を参照しながら、水頭症および無脳児における心拍数変動の妊娠の進行にともなう特徴について、検討を加えた。水頭症(妊娠31ー39週)および無脳児(妊娠24ー34週)から得られた確率密度図と、正常例から得られた妊娠2週毎の心拍数確立密度図の双方を用意し、両者の間の心拍数変動の違いを不一致率(%)として算出した。その結果、水頭症症例の不一致率は妊娠30週か339週に至る期間、ほとんど変化せず、11.8ー30.6%の範囲に分布していた。一方、無脳児においては、妊娠24週の15.9ー40.6%から妊娠34週の36.5ー45.3%へと、妊娠の進行にともなって増加してゆく傾向が認められた。ことに不一致率35%を臨界値として、妊娠31週以降の胎児を対象に両群を比較したとき、水頭症では全例臨界値以下に留まっていたのに対して、無脳児では全例臨界値以上の値を示した。以上の成績から、妊娠の進行にともなう水頭症症例の心拍数変動のバラツキは正常児の示す個体差のバラツキの範囲に含まれるが、無脳児では、正常胎児に対する心拍数変動の不一致率は妊娠の進行とともに増加し、妊娠31週を過ぎれば、正常例のバラツキを越えて大きくなることが明らかとなった。このことは、剖検所見を参照して考察すれば、少なくとも妊娠31週以降になると延髄より上位の中枢神経系の機能が心拍数変動に関与してくることを意味している。
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