研究課題/領域番号 |
01570938
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
沖 利貴 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30107867)
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研究分担者 |
飯尾 一登 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (00202804)
川上 清 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (50152921)
園田 俊郎 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (40036463)
永田 行博 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30038806)
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キーワード | HTLV-1母児感染 / HTLV-1キャリア妊婦 / 児栄養法 / 母乳摂取期間 |
研究概要 |
鹿児島県における妊婦7370名での抗HTLV-1抗体スクリ-ニングの結果、抗体陽性者は387名で陽性率5.3%であった。地域別の抗体陽性率は3.5〜8.5%と幅があり、地域差が認められた。HTLV-1キャリア妊婦より出生した児で、平成元年8月31日までにフォロ-アップを開始した児は375名である。栄養法の内訳は人工栄養児327名、母乳栄養児(混合栄養を含む)41名、不明7名である。キャリア妊婦より出生した児の移行抗体と思われる抗体は生後3〜9カ月までに消失した。そして1年以上追跡し得た児は100名(人工栄養児91名、母乳栄養児9名)であり、移行抗体消失後抗HTLV-1抗体が陽転した児は4名でいずれも人工栄養児でその陽転率は4.4%である。母乳栄養児からの陽転例は現在のところない。次にキャリア妊婦より出生した同胞の血清抗体検査結果と授乳期間の相関を検討した。対象は母乳栄養であった2歳以上の同胞135例で、全員輸血暦、手術暦はなかった。これらについてその授乳期間を1〜6カ月と7カ月以上の2軍に分けて検討してみると、前者での抗体陽性率は4.2%後者では16.1%であり、両群に有意差が認められた(P<0.005)。このことは母乳摂取期間がHTLV-1の感染に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆する。また、母乳摂取期間1〜6カ月群での抗体抗体陽性率4.2%は、人工栄養児での抗体陽性率4.4%と大差がないことから、短期母乳摂取児におけるHTLV-1の感染リスクは人工栄養児のそれとあまり変わらないものであるようにおもわれるが、今後さらに検討の必要がある。
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