不妊及び流産に関与する生延系細胞上の糖鎮抗原の解明

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01570945
• 研究機関: 兵庫医科大学
• 研究代表者: 磯島 晋三 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90068403)
• 研究分担者: 辻 芳之 兵庫医大学, 医学部, 講師 (60148658)
• キーワード: 抗精子抗体 / 糖鎮 / モノクロナ-ル抗体 / 自己免疫 / 不妊

研究概要

前年度までの研究で不妊婦人患者の精子不動化抗体が硫酸ガラクト-ス基を認識する抗体でが、多い事が証明された。そこで本年度はヒトが硫酸ガラクト-スを認識する抗体を作り、かつ精子不動化作用を発現するものがあるかどうかを検討した。そのためにヒト型モノクロ-ナル抗体を新たに作成し、硫酸ガラクト-ス基を認識する抗体不動化活性を示す抗体が実際にヒトでも作られるものかに付いて検討した。手術的に切除された腸間膜リンパ節をヒトミエロ-マ細胞株と融合しヒト型モノクロ-ナル抗体を作用した。その中から硫酸ガラクト-スを認識し且つ精子不動化活性を有する抗体産生ハイブリド-マを検索したところ弱いながらも精子不動化活性を有すし硫酸ガラクト-ス基に反応するヒト型モノクロ-ナル抗体の作成に成功した。
さらに、この抗体の遺伝子を単離し、そのDNA sequenceを解読し、従来より発表されている抗体遺伝子とのhomologyを検索した。その結果VHーI familyにgermlineをきわめてよく保存した抗体遺伝子である事が判明した。
これは硫酸ガラクト-スを認識しかつ精子不動化活性を呈するヒトの抗体がnatural autoantibodyの一種で有る事を示唆する。

研究成果

• [文献書誌] Tsuji,Y.,Iuchi,A.,Fukuda,H.and Isojima,S.,: "Anti-sperm monoclonal antibodies establishied by human trophoblast immunization." Proc.Japan of 4th annual meeting of Japan Society for Basic.Reprod.Immunol.,. 4. 30-35 (1990)
• [文献書誌] Kameda,K.,Takada,Y.,Hasegawa,A.,Tsuji,Y.,and Isojima,S.,: "Sperm immobilizing and fertilization-blocking monoclonal antibody 2C6 to human seminal plasma antigen and characterization of the antigen epitope corresponding to the monoclonal antibody." J.Reprod.Immunol.20. 27-41 (1991)