スギ花粉症に対する社会医学的アプロ-チを予防医学の立場から確立するとともにスギ花粉症の発症機構を空中飛散スギ花粉症とIgE産生機構の2点から検討した。 1.空中飛散スギ花粉数の予報化。 京滋19ケ所の関連病院耳鼻咽喉科から連日FAXで飛散花粉数、スギ花粉症患者発生実数・平均的症状・天候の報告を受け、これに過去7年間の気象条件からみた花粉飛散ピ-ク形成について検討を加えて予報化を平成2年度は2月18日より開始した。飛散開始については適中したが、シ-ズン中の花粉飛散については、(1)空中飛散スギ花粉のピ-ク形成については地元の標準木での開花状況が必要なこと。(2)花粉予報システムは花粉症対策として重要である。の2点に力点をおいて検討を加えた。予報はメディア以外テレホンサ-ビスを用いて受益者負担を試みている(利用者は既に3000人を越えた)。また今年度から花粉症サ-ヴェイランスを医師会FAX網を利用して広く京都府一円に提供している。 2.スギ花粉特異的IgE産生機構 スギ花粉症患者の末梢血、扁桃における抗原特異的IgE産生機構を解析する一助としてIgE bearing lymphocyteの定量化をFACSを用いH107抗体に反応する細胞定量化で検討した。その結果11例の鼻アレルギ-患者でH107抗体に反応するリンパ球が有意に増加することが判明した。
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