研究概要 |
1.基礎的研究としては先ず各種耐性株の樹立と相対的耐性度の検定を行った。その方法としては(1)各種耐性細胞株の樹立:cisplatin(CDDP)、methotrexate(MTX)、5-fluorouracil(5-FU)、bleomycin(BLM)含む培地でKB細胞(上咽頭癌)を約6ヵ月間継代培養し、各々の耐性細胞株を樹立した(2)相対的耐性度の検定:8種類の抗癌剤、すなわちCDDP、MTX、5-FU、BLM、mitomycin C(MMC)、peplomycin(PEP)、adriamycin(ADR)、vincristine(VCR)の72時間接続接触の条件下で培養し、色素法によるgrowth inhibitionにてIC50を求め、上記耐性細胞株と親株を比較し、相対的耐性度を検討した。その結果、(1)CDDP耐性株はCDDPに8.4倍、BLMに3.3倍、PEPに3.1倍、他の5薬剤には2倍以下の耐性度を示した。(2)MTX耐性株はMTXに13倍、BLMに2.4倍、PEPに2.3倍、他の5薬剤には2倍以下の耐性度を示した。(3)5-FU耐性株は5-FUに2.9倍、CDDPに2.6倍、BLMに2.1倍、他の4薬剤には2倍以下の耐性度を示した。(4)BLM耐性株はBLMに5.8倍、PEPに5.3倍、他の6薬剤には2倍以下の耐性度を示した。以上の結果からVCR+MTX+PEPとCDDP+5FUの組み合わせはnon-cross resjstant regimenと考えられた。 2.臨床的研究としては過去に化学療法を行った症例をretrospectiveに分析した結果、臨床的に非交叉耐性を示す組み合わせを見出した。その一部を示すとUFTとBLM+MMC,UFT+MMCとCDDP+PEP,CDDPとUFT,VCR+MTX+BLMとCDDP+PEP,VCR+MTX+BLM+MMCとCDDPなどである。そこで基礎的研究から得られた成績と臨床的経験から得られた結果を勘案してVCR+MTX+PEPとCDDP+5-FUによる連続的非交叉耐性化学療法をpreliminary studyとして行い興味ある結果が得られつつある。さらに最近はVCR+MTX+PEPとCDDP+etoposideによる非交叉耐性化学療法も検討中である。
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