研究課題/領域番号 |
01570962
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
高橋 正紘 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30051832)
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研究分担者 |
岡田 行弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60185452)
斉藤 晶 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00186925)
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キーワード | 水平および垂直 / 動揺病 / ロコモ-ション / 知覚ミスマッチ / 空間認知 |
研究概要 |
1.視覚入力を歪ませる頭部装着式光学的アダプタ-の作成 水平および垂直方向の視野逆転プリズムは市販のものを利用した。逆転角度を自由に調節できる可変式プリズムも製作したが、装着した結果では水平、垂直逆転程のミスマッチ効果は得られなかった。 2.フリ-、フィ-ルドにおけるプリズム装着下の歩行観察 当初はプリズム装着前后の頭部動揺、VORゲインの変化を観察する予定であった。しかしプリズム装着により以下の極めて興味深い所見を得たため、目的を動揺病の成因、ロコモ-ションに占める空間認知の役割の研究に変更した。正常成人12名、両側迷路機能消失1名に行った。1)水平逆転:水平逆転プリズム装着により著しい歩行失調、動揺病の発現が観察された。感受性の高い群では装着直後より移動不能となり、僅かの移動により動揺病が発症した。感受性中等度群においても頭部回転、細い道の歩行により歩行失調、動揺病を呈した。両側障害例では視覚の歪が直ちに歩行の異常に反映されたが、失調や動揺病は発現しなかった。2)垂直逆転:垂直逆転プリズム装着においては、水平逆転と全く異なり、歩行失調や動揺病は誘発されなかった。積極的な歩行中の頭部運動によっても不快な視野の動揺感は知覚されず、自転車乗車も可能であった。 3.本研究の意義と今後の展望 水平と垂直の視野逆転効果の違いは、1)空間認知に占める重力の役割り、2)動揺病発症におけるミスマッチ入力の条件、3)ロコモ-ション制御機構(top downかbottom upか)などの課題解決に対する有力な情報を提供しつつある。さらに宇宙酔いの成因への魅力的なアプロ-チとなり得る。今後各テ-マ別に詳細な研究が予定されている。
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