研究課題/領域番号 |
01570964
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
石井 哲夫 東京女子医科大学, 医学部・耳鼻咽喉, 教授 (30082126)
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研究分担者 |
山本 信和 東京女子医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科学教室, 助手 (90191428)
児玉 章 東京女子医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科学教室, 助教授 (70082287)
高山 幹子 東京女子医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科学教室, 助教授 (80075481)
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キーワード | モルモット鼓膜 / ヒト鼓膜 / 力学的性質 / 外傷性鼓膜穿孔 |
研究概要 |
モルモット鼓膜・ヒト鼓膜の正常例の力学的性質を検討した。モルモット鼓膜では、放射状線維に平行に引張した方が直角に引張するより約8.8倍強いこと、引張方向を放射状線維に直角〓し、引張速度を変化させても強さは変化しないこと、鼓膜を前方・下方 後方と分けた場合に各部位において強度に有意差が認められないことが判明した。また引張方向を放射状線維に平行に設定すると、鼓膜後方が前方に比較すると有意に強いこと(P<0.01)が判った。また以上の測定をホルマリン固定と新鮮組織で施行した場合、新鮮組織の方が強くなっていた。 ヒト鼓膜はホルマリン固定で測定したが、破断限界値が放射状線維に直角方向で1.06kgf/mm^2、平行方向で1.99kg/mm^2であり、両方向の強度の比は1.9倍とモルモットより小さかった。鼓膜の変形を円柱もしくは球形と仮定し、計算式をたてた。これに破断限界値、曲率半径、鼓膜の膜厚を代入し、破断に要する圧力を計算した。ヒト鼓膜の新鮮組織の強度はモルモット値より推定した。推定値は放射状線維に直角方向が2.56kgf/mm^2,平行方向は3.28kgf/mm^2とした。また鼓膜は常に放射状線維に直角方向の強厚が平行方向に比較して弱いため計算には直角方向の破断限界値を用い、鼓膜の膜厚は変形過程で変化しないと仮定した。以上より、ヒト鼓膜の破断に要する最小圧力は20.5gf/mm^2(2.05気圧)となった。現在はこの理論を臨床に応用し、外傷性鼓膜穿孔の介達性外傷による鼓膜穿孔の起点を考案中である。
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