平成元年度科学研究費補助筋により、超細径ファイバ-スコ-プビデオシステム(メディカルサイエンス社製FV2000)、及び直径0.5mmなどの超細径観察用ファイバ-を購入し、涙嚢・鼻涙管病変、眼窩内病変などの観察を行った。当初、観察用ファイバ-スコ-プのファイバ-密度が荒く、また焦点距離が適切でなかったことなどにより画像の明瞭さに問題があった。ファイバ-の密度を高く、焦点距離を適切にするなどの改良により、明瞭な画像が得られ、病変観察の精度が向上した。 第一に、慢性涙嚢炎の患者の涙嚢・鼻涙管の閉塞部位、閉塞状況の観察を行った。ファイバ-スコ-プによる観察では、総涙小管付近、涙嚢内壁の強い繊維化、肉芽組織の存在が明瞭に認められ、これが導涙障害の原因であることが強く示唆された。涙点・涙小管を経由しての涙嚢・鼻涙管の直接的な内視鏡的観察は、国内、外でも未だ報告がなく、観察結果は平成元年10月13日に名古屋市で開催された、第43回日本臨床眼科学会・眼の形成グル-プディスカッション、12月2日に浜松市で開催された眼窩疾患シンポジウムで講演発表した。また、平成2年3月19日にはシンガポ-ル市で開催される第26回国際眼科学会でも講演発表を行う予定である。 本研究の第2の目的である眼窩病変の内視鏡的観察では、涙嚢・鼻涙管観察用のファイバ-スコ-プでは不適当である事が確認された。観察時に当該部位を拡張・洗浄し観察することが必要であるため、注入用の細井チュ-ブをそなえたファイバ-チップを作製する予定である。平成2年の主目的をこの研究としたいと考えている。 また、涙嚢・鼻涙管病変では、状況の確認のみならず、双手法を用いた治療法も確立したいと考えている。
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