研究課題/領域番号 |
01570972
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
河崎 一夫 金沢大学, 医学部, 教授 (20019920)
|
研究分担者 |
望月 清文 金沢大学, 医学部, 助手 (90182162)
白尾 裕 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (50154365)
|
キーワード | ロメフロキサシン / フロモキセフ / 網膜電図(ERG) / 眼感染症 / 硝子体内注入 |
研究概要 |
近年従来とは異なる種類の微生物による眼内感染症例が増加してきた。例えば眼内レンズ移植術後の嫌気性眼内炎、糖尿病などの重症全身疾患を有する患者に生じるMRSAまたMRSEによる眼感染症などである。今回我々は嫌気性菌ならびにMRSEおよびMRSAに対して十分な抗菌力を有するキノロン系抗菌剤ロメフロキサシンおよびオキサセフェム系抗生剤フロモキセフ(FMOX)を用い硝子体内安全投与量について家兎in vivo ERGを指標として検討した。また、両剤を硝子体内注入した際の眼内クリアランスおよび静脈内注射後の眼内移行についても検討した。 ロメフロキサシン200μg硝子体内注入では注入後8週までb波、c波および律動様小波に変化は認められなかった。200μg硝子体内注入による眼内各組織への移行を注入後5、12、24、48、72時間まで検討した。硝子体内濃度は注入後24時間まで指数関数的に減少したが、48時間以後では減少率は低下し72時間後においてもロメフロキサシンは硝子体内に検出された。FMOX200μGでは硝子体内注入後8週までb波、c波および律動様小波にはほとんど変化は認められなかったが、500μg、lmgおよび2mgでは注入後2日目までにb波振幅は減弱したが8週目までに回復傾向を示し、c波および律動様小波は注入後明らかに変化したが一定の傾向を示さなかった。また、200μg硝子体内注入後の硝子体内濃度を注入後48時間まで測定したところ、その半減期は約4.4時間であった。静脈注射後の硝子体内濃度は正常眼では測定限界(0.1μg/ml)未満であり、硝子体切除眼では正常眼より高い濃度が移行していたが有効濃度には達しない眼もあり細菌生眼内炎の治療には硝子体内注入が有効であることが示唆された。以上よりロメフロキサシン200μgおよびFMOX200μg硝子体内注入は網膜に安全でしかも細菌生眼内炎に有効な硝子体内注入量であることが判明した。
|