当初の計画通りに研究をおこなっている。今まで得られた実験成績を以下に記述する。 1.幼若ラットおよび成熟ラットの皮下にカプサイシンとその投与前後に6-OHDAを1回注射し、角膜混濁の臨床症状に応じて神経伝達物質あるいは修飾物質サベスタンスPの存在を間接蛍光抗体法で検察したところ、カプサイシンのみの投与群にくらべて、6-OHDA群にサブスタンスPの減少は少なかった。即ち角膜混濁の発現にはサブスタンスPの存在が大きく関与し、角膜神経線維の減少と一致してサブスタンスPが減少している。 2.角膜混濁の発現にはノルエピネフィリンの減少が関与していないが、混濁抑制にはノルエピネフィリンの減少が大きく関与していることがわかった。カプサイシンを幼若マウスに投与後4週めに角膜混濁がひどく発現するが、この時期にノルエピネフィリンの減少が著明であった。 3.臨床症状に応じて角膜上側の核酸(DNA)の定性、定量をおこなったところ、カプサイシン投与後、角膜混濁が増し始める3週め頃から上皮基底細胞の分裂は減少し、DNAの合成が低下した。神経線維数の減少する時期とほぼ同一時期に合致していた。DNAの合成が再びみられ始めたのは上皮再生が組織学的にみられ始めた7週めのときであった。神経線維の再生より1週間程早かった。これらのことから角膜神経線維の再生よりも上皮再生時DNAの合成は活発となってくることが示唆された。
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