研究概要 |
網膜細胞による情報伝達には網膜ニュ-ロンに発想する神経伝達物質が深く関わる。この伝達物質は細胞内カルシウムイオン[Ca^<2+>]i上昇をシグなるとしてシナプスにおいて放出、作用、再利用される.伝達物質の前駆物質やペプチドは細胞体から神経末端へと軸索輸送されている.この輸送能が傷害されると正常な神経機構が作働しなくなる。輸送能は低酸素、虚血、代謝異常などで傷害されるが、興奮性アミノ酸による神経刺激、神経傷害もその1つのモデルである。一方ミュ-ラ細胞も神経情報伝達に大事な役割をもつことが明らかとなってきた。こうしな状況下我々は培養ミュ-ラ細胞、網膜ニュ-ロンを用いて、これらの細胞に刺激、毒性を示す物質の影響を細胞レベルで解明する目的で研究を行った。まず、培養網膜ニュ-ロンに、ドパミン,GABA,アセチルコリン、サブスタンスPが発現していることを間接蛍光法により同定した。 [Ca^<2+>]iの濃度上昇は指示薬(furaー2AM)蛍光濃度をfluorospectrometryにて測定された。アミノアジピン酸では、ミュ-ラ細胞にはLー体が最も強く作用し、ニュ-ロンにはDー体が強い作用を有することを明らかにした。アミノアジピン酸を培養系に投与し長期観察した実験では、ミュ-ラ細胞のDNA量は抑制されなかった。またGFAPを増強(発現増加)させることも明らかとなりミュ-ラ細胞のアジアピン酸に対する抵抗性が示された。この実験ではニュ-ロンはむしろ脆弱であることがわかった。 4アミノピリジンを用いた同様の実験からは、培養網膜ニュ-ロンの多くがLー型のカルシウムチャンネルを有し、一部はTー型の可能性があることを薬理学的に推定しえた。 網膜ニュ-ロンとミュ-ラ細胞が共存した場合とミュ-ラ細胞単独の場合の細胞応答の差もこうした実験を通して明らかとなった。このほか熱ショック作用、basic FGFの局在、神経原性腫瘍についても研究した。
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