1.歯の石灰化に必要な無機物質は体液により象牙芽細胞なり、象牙前質に運搬されるのは当然である。この運搬を媒介しているのが毛細血管であり、歯髄周辺部のこの血管は象牙芽細胞の石灰化への関与を示す。すなわち、象牙芽細胞の位置を基準として考えると、位置も、また内皮細胞の形態も相関して変化するという事実を明らかにしてきた。しかし、研究材料であるラット切歯の切縁部ではどのようになっているのか不明であったから、本年度内に一応明らかにした。それによると、象牙芽細胞は再び石灰化に関する機能が低下してくる(細胞の丈が70〜80μm)と考えられる状態では毛細血管の内皮は殆んど有窓型となり、さらに石灰化能力完全消失と考えられる部位(細胞丈が30μm)では窓が消失し、形質膜小胞もみられなくなる。以上のように象牙芽細胞の石灰化機能と毛細血管の透過能は見事に相関していることを明らかにした。研究分担者:仙波、田畑 2.ラット切歯石灰化の初期の一時期に骨様象牙質が出現する。脱灰して調べると、1μm径程度の球状形態が見える。アルカリフォスファテ-ズ活性は陽性であるから、この球状物は本来石灰化の場であったと考えられる。それでは何が石灰化の誘導物となったのか。組織化学的に多糖類やコラ-ゲン線維などについて球状物質の石灰化要因を調査してきた。しかし、石灰化の芯になるものが細胞膜なのか、線維状構造物なのか、或は以外の何かなのかという形態学的ツメが完了しなかったので論文発表に現在のところ至っていない。ただ最近になって、より鮮明な像を得る染色法に気づいたから、近くこの仕事は一段落する予定である。研究分担者:仙波、中間
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