研究概要 |
1.組織化学的手法による石灰化の研究:象牙質の石灰化には三つの様式があるといわれている。ラット切歯の骨様象牙質を材料として次の結論を得た。(1)基質小胞は大きさ,外形,内容物などから8種に分類することができた。(2)小胞の直径が0.3μmを境にして,これより小型の小胞は内部にアパタイト結晶様を含有することが多いが,これにより大型のものは結晶の出現をみないまま石灰化物で充填された球状構造物となる。(3)球状構造物の基質をPTA染色で観察すると、コラ-ゲン線維束上の結晶の成長につれ線維に解離がおこり,吸収され,放射状に配列する結晶集会からなる石灰化塊の形状と一致して,網状の非コラ-ゲン性基質が形成される。(4)球状基質はルテニウム・レッドにより網状のフィラメント部分が染る。このことから,解離したコラ-ゲンが消失した後に残るプロテオグリカンの網状構造が,この球状基質を構成していると考えられる。(6)石灰化塊を脱灰したあとに観察される球状基質上には、その形成初期において,明瞭なアルカリ性フォスファタ-ゼ活性が検出され,おそらくこの領域でリン酸の供給が必要とされているのであろうと推測される。しかし,このALPase活性は石灰化塊の融合後すみやかに失われた。(7)以上のことから,骨様象牙質や管周象牙質の形成は、特殊な基質上におこる結晶沈着ではなく,通常のコラ-ゲン性石灰化の過程に続いて、コラ-ゲン線維が吸収され,有機質の少ない硬組織に改造された結果であると考えられた。研究分担者:仙波,中間 2.エネルギ-分散型X線による細胞内小器官の研究はX線分析装置が故障し、修理が年度末まで行われず,今年度は結果を得るに致らなかった。研究分担者:仙波,田畑
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