研究概要 |
1.組織化学による石灰化の研究:本年は研究の一応のまとめとして、別項にような論文発表を行った。極く配単に結果を報継する。(1)骨様象牙質には8種の小胞がみられ,直径0.3μmを境にして、これより小型の小胞内にアパタイト様結晶が出現する。(2)石灰化したところを脱灰し、組織化学的方法で検索すると、石灰化初期にはアルカリ性フォスファタ-ゼ活性がみられ、このことから、ピロリン酸の分解とリン酸イオン供給が必要とされているのだろうとの推測がされた。(3)象牙質の硬度は一様でなく,管周象牙質は最も硬い。この場所は従来非コラ-ゲン性石灰化と呼ばれ、コラ-ゲン以外の特殊な基質により石灰化が誘起されていると考えられていた。今回の研究により、通常のコラ-ゲン性石灰化の過程に続いて、コラ-ゲン線維が吸収され,有機質の少ない硬組織に改造された結果であることが明らかとなった。研究分担:仙波,中間 2.走査電顕による歯髄血管の観察:ラット切歯歯髄中の血管を塩酸コラ-ゲナ-ゼ処理により観察した。動脈は2層あるひはそれ以上の平滑筋細胞層により密に取り囲まれていた。この幹動脈の表面形態には2種類の型がみられ,一つは平滑な面で,他は凹凸の著しいネジのような面をしていた。10〜15μmの細動脈は1〜2層の平滑筋細胞により密に取り巻かれていた。毛細血管には散在性に周細胞がみられ,それらは10μmにみたない短かい突起をもっていた。細靜脈は散在性に周細胞をもつが,これらは20μmを越すほどの一次突起を血管の長軸方向に伸ばし,そこから輪状方向に多数の二次突起を派出していた。幹靜脈はクモ型の周細胞が作る粗い網目により包まれ,これらは内皮細胞の作る溝の中に埋み込まれるような形態で存在していた。
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