研究概要 |
マウス主導管上皮の機能を考える目的で、以下の実験を行い、次の様な結果を得たので、その概要を報告する。 1.雄性マウスと雌性マウスの主導管上皮は組織学的に異っている点がある事がわかった。雄性マウスにはType I Cell,Type II Cell,と基底細胞があり、Type II Cellには0.5〜1μmぐらいの電子密度の高い果粒が存在している。Acpase反応実験により水解酵素を有している事、脂質抽出実験により脂質を有する事がわかった。雌性マウスには、Type I Cell,Type II Cell Type III Cellと基底細胞がある。Type I Cellは雄性のものと似ているが、Type II Cellは、細胞質電子密度が非常に低く、脂質を有する顆粒が少ないこと、ペリオキシゾ-ムが多い点等で異っている。Type III Cellは雄性のものには存在しない。そこで雄に多く、雌に少ない脂質を有する顆粒が男性ホルモンの影響を受けているかどうか調べる為に3週齢の雄性マウス(ICR)を睾丸経述嚢法により副睾丸と共に摘出し、9週齢(成体)で組織を採取し検索した。9週齢においてもこの顆粒は存在し,消失していなかった。また9週齢の雌性マウスに25mg/kgのテストステロンを隔日2週間及び4週間投与したものにおいても、脂質顆粒の数が大幅に増える事はない。この顆粒はNGF,EGF等が存在する顆粒性膨大部に存在する顆粒の様に男性ホルモンの影響を受けていないものと思われた。 2.雄に多く存在している脂質顆粒には、内部にクリスタやミエリン様構造体が、観察されミトコンドリア由来と考えられた。そこで上皮の発生を追う事により、この点を明らかに出来るものと考え、3週齢より9週齢までの雄性マウスを使い検索した。その結果はこの顆粒は上皮が分化することにより成長するのではなく、3週齢でもすでに存在し、ミトコンドリアのクリスタが消失したものや顆粒の中にクリスタが存在したものもあり、非常に短時間のうちにミトコンドリアから作られる。
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