研究概要 |
軟骨細胞に副甲状腺ホルモン(PTH)受容体が存在することを世界ではじめて証明することの成功した。以下その概略を述べる。 1)[Nle^<8.18>,Tyr^<34>]ウシPTH(1ー34)アミドをクロラミンT法でヨ-ド化し、C_<18>ーμBondasphere逆相クロマトグラフィ-で精製することにより比放射活性の極めて高いラジオリガンドを得た。この^<125>I標識PTH(1ー34)を用いウサギ肋軟骨成長軟骨初代培養細胞に対する結合実験を行ったところ15°C4時間で最も高い結合がみられた。この結合はPTHに特異的で[Nle^<8.18>,Tyr^<34>]ウシPTH(1ー34)アミド,ウシPTH(1ー34),[Nle^<8.18>,Tyr^<34>]ウシPTH(3ー34)アミドで阻害され、PTHとしての活性を持たないヒトPTH(13ー34)やインスリン、上皮成長因子等では阻害されなかった。スキャチャ-ド解析の結果、Kd値は0.66nM、受容体数は約4.9万個/細胞であった。 2)^<125>I機構PTHと軟骨細胞の受容体をdisuccinimidyl suberateで共有結合させ、電気泳動後オ-トラジオグラフィ-を行ったところ、ホルモン・受容体結合物のバンドが76Kのところにみられたことから受容体の分子量は72Kダルトンであることが判明した。 3)静止軟骨細胞にもKd値の同じPTH受容体が存在したがその数は成長軟骨細胞に比し少なかった。 4)継代2代目の細胞にも受容体が存在した。 5)インスリン様成長因子Iで軟骨細胞の分化を亢進させるとPTHの結合が増加し、ビタミンAで軟骨細胞の分化を抑制するとPTHの結合が低下することからPTHレセプタ-数の変化が軟骨細胞の分化と密接に関連していることを明かにした。
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