我々は、ポケットの深さと同時にEhを測定することで、歯周炎の診断をより客観的にすることを目的として、ポケットプロ-ベ型Eh電極と小型Ehメ-タ-を開発し、実際の臨床応用の可能性について検討した。 〔材料および方法〕 装置の概要:今回開発したポケットプロ-ベ型電極、歯周炎診断用装置(ペリオチェック)の全体構成は、ポケットプロ-ベ型指示電極、比較電極、デジタルメ-タ-である。指示電極である白金電極は、先端部が歯周プロ-ベの如く直径およそ0.3mmと細く、測定部として露出している。また他の部は、絶縁材を通して把持部に連結されている。比較電極は、内部にKCIを容れた排唾管型のAg/AgClガラス電極になっている。デジタルメ-タ-としては、ハンディ-モデルTPー711(東興化学)を改良したものを使用した。歯周ポケットのEhと細菌数:被検対象として、15人の成人性歯周炎患を選び、4mm〜8mmのポケット30ケ所を測定した。対照部として3mm以内の歯肉溝を健常者5人より30ケ所選んだ。また舌下部の唾液も測定に供した。同時に測定部の細菌検査として、黒色色素産生性バクテロイデス(B.P.B)と嫌気性菌のColonyーformingunits(CFU)を測定した。 〔結果および考察〕 歯周ポケットのEh(ー200〜+30mV)は、健常者の歯肉溝(ー30〜+120mV)のそれより低下していた。細菌検査の結果、歯周ポケットのEhの低下にもかかわらずB.PB.、Total CFUの少ない症例もあり、生体の反応物の影響を考慮する必要がある。今回使用したEhプロ-ベは、ポケットの深さという量的評価に加えてEhの値がー100mV前後を示せば、同程度のポケットであっても嫌気性菌が発育しやすい状況であるという質的評価の付加的意味合いからも推奨される。
|