本年度の目標は、システムの構築である。開発したシステムは(1)超音波診断装置、(2)咬合力計、(3)咬合力計を撮るCCDカメラ、(4)(1)と(3)により得られる画像を合成するビデオワイパ-、(5)ビデオワイ-パ-からの画像を記録するS-VHSビデオデッキ、(6)ビデオワイパ-およびビデオデッキからの画像をコンピュ-タ-に入力するフレ-ムメモリ-から構成される。ハ-ドウエアに関してはすでに開発が終了している。 画像処理用のソフトウエアについては、すべてのプログラムが完成しているわけではないが、左右臼歯部に咬合力センサを備え、閉口時に前歯部から超音波プロ-ブを挿入可能な実験義歯を製作し、計測デ-タもすでにビデオ・テ-プに約50人のデ-タをすでにビデオテ-プに記録している。 その成果についても、荷重時における義歯床下粘膜の動態について、最大咬合力時および無負荷時の挙動についてオフ・ラインの形ではあるが、第82回日本補綴歯科学会学術大会(10月)において報告した。 粘膜沈下量は上顎顎堤部および口蓋側方部で0.3〜0.4mm、口蓋正中部で0.2〜0.3mm、下顎顎堤部で0.3〜0.4mmの値を示した。これを粘膜沈下率(粘膜沈下量/安静時の粘膜厚径)で比較すると上顎と下顎において有意な差が認められた。また、口蓋部にリリ-フを施すことにより、上顎顎堤部および口蓋側方部において沈下率が増加し、さらに被験者によって最大咬合力の著明な増加を認めた。この0.3〜0.5mmのリリ-フにより、粘膜の菲薄な部位に力が集中するのを防ぎ、咬合力を効果的に分散させることが可能であることが示唆された。
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