| 研究概要 |
上顎レジン全部床義歯の剛性、疲れ強さの向上と床の厚さによる違和感の軽減を計るため義歯床の強化と薄床化について検討を行った。強化義歯床はカ-ボン繊維(CF)およびアラミド繊維(AF)を強化材に義歯床用アクリル樹脂をマトリックスに作製した。試験は使用時の咀しゃく機能に近い負荷状態を想定した定荷重方式の片振り疲労試験を行った。その結果について要約すると次の通りである。
1)義歯床口蓋部の厚さは通常のレジン床義歯に比べCFクロス強化義歯床では50%,AFクロス強化義歯床では40%の薄床化となる
2)強化義歯床の疲れ強さは通常のレジン床義歯に比べCFクロス強化義歯床で1.86倍,AFクロス強化義歯床で1.76倍となり優れた補強効果を示し疲れ強さは向上する。
3)破壊の様相は、曲げ試験結果と類似しておりキ裂は中切歯間を通り床後縁部まで正中線に沿って進展し破壊に至る。破壊はCFクロス強化義歯床では分離破断となるが、カ-ボン繊維の露出は認められず繊維による口腔内での損傷はないものと考える。AFクロス強化義歯床では分離破断しない。
この様に、カ-ボン,アラミド繊維を強化することにより疲れ強さは増大し優れた補強効果のあることが示される。
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