研究分担者 |
橋本 真紀 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (10228421)
岡田 啓嗣 徳島大学, 歯学部, 助手 (70224011)
西川 啓介 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (10202235)
鈴木 温 徳島大学, 歯学部, 助手 (80196790)
久保 吉廣 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (50136686)
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研究概要 |
本研究の目的は,6自由度顎運動測定器MMーJIと多チャンネル表面筋電図記録からなる,教室の顎機能診断システムに,記録が困難だとされていた外側翼突筋筋電図と顎関節雑音の記録を加えて総合的な診断システムとし,これを用いて顎関節雑音の発症機序を解明することであった。初年度にはファインワイヤ-電極を用いた外側翼突筋下頭の筋電図記録を,解剖実習用の屍体による電極刺入法の予備実験を行った後,口内法によって採取する方法を確立し,外側翼突筋下頭を含む咀嚼筋8chの筋電図と6自由度顎運動の同時測定に世界で初めて成功した,2年目の最終年度には,主として顎機能健常者を対象としてデ-タの蓄積と解析を行い,1)外側翼突筋下頭の活動は,顆頭の前方移動に対応して観察されその活動量は顆頭運動速度や顆頭位等の影響を受け,活動開始時期は,非常に遅い開口運動を除いて,顆頭の移動開始時期に先行するか,または一致していた。2)切歯点における側方限界運動経路に制限のあるものでは,作業側に相当する外側翼突筋下頭の活動開始時期が早い傾向にあった。などのことが分かった。顎関節雑音については,小型コンデンサ-マイクロホンをアタッチメントによって外耳道に設置し,6自由度顎運動と外側翼突筋を含む筋電図との同時記録を可能とし,当初目標であった総合的な顎機能診断システムとしてはほぼ整備された。現在顎関節雑音を有するボランティアや患者からデ-を収集中で,解析方法や必要なパラメ-タの検討を行っている。本システムを用いることにより,クリッキングに際しての顆頭運動経路や速度の変化,限界運動の収束性等を観察することは容易で,筋電図の解析を加えて,多様な顎関節雑音の病態分類も可能となると思われる。以上に示すように,科学研究費の補助を受けた本研究において,テ-マとして挙げた,顎関節雑音の発症機序解明のための確かな糸口を掴むことができた。
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