研究概要 |
前年度までに、ラット三叉神経に対するカプサイシンおよびCd^<++>イオンの局所作用効果について究明を行ってきた。そしてそれら薬品の感覚神経に対する作用をA線維群とC線維群の分類の観点から検討し、A線維群に対してほとんど効果を示さず、C線維群に対しての作用は濃度依存性かつ時間依存性であることが判明してきた。しかしそれらのC線維群に対する作用機序についてはいまだ不十分であり、特にCa^<++>チャンネルとの関連が示唆されてはいるものの確定には至っていない。そこで本年度でも引続き作用機序の究明のデ-タを得るべく実験を行ってきた。そしてさらに新しいプロ-ブとして薬品テトロドトキシン(TTX)を用いた実験を始めている。この薬品は、膜チャンネルのうちNa^+チャンネルに対して特異的に作用し、かつCa^<++>チャンネルはこの薬品に耐性を示すことが指摘されている。そこで、これを利用すればカプサイシンとCa^<++>チャンネルの関係が究明できるし、別の観点からみれば、感覚神経系のA線維群、C線維群の各薬品に対する特性を調べることができ、結果として各線維の性質、痛覚との連関解明の糸口も得られると考えられる。 実験手法は従来のものを応用する。まず成熟ラットをペントバルビタ-ルとケタミンによる麻酔下で、三叉神経(TG)と眼窩下神経(ION)を露出させる。次に人工呼吸下で神経筋遮断剤(ツボクラリンetc)で非動下後、EMGの完全消失を確認する。そしてTG刺激に対する複合活動電位の逆行性応答をIONから記録する。そして刺激、記録部位の中間部の神経束に、TTXを局所投与し、これに対するA,C線維群の応答を調べる。そしてさらにその後にカプサイシンあるいはCd^<++>イオンを同部位に局所投与し、時間経過を調べる。 これによりCa^<++>チャンネルの関与がさらに明確になると推測される。現在、同上手法によりTTXの濃度を変化させて各線維の応答を究明中である。
|