研究概要 |
成熱ラットをペントバルビタ-ルとケタミンによる麻酔下で、三叉神経節(TG)と眼窩下神経(ION)を露出させる。次に人工呼吸下で神経筋遮断剤で非動下後、EMGの完全消失を確認する。そしてTG刺激に対する複合活動電位の逆行性応答をIONから記録する。そして刺激、記録部位の中間部の神経束に、薬物を局所投与し、これに対するA,C線維群の応答の時間経過を調べる。以上の実験手法によりこれまでに、カプサイシンのC線維に対する作用は、応答の抑制であり、その作用は濃度依存性、作用時間依存性であり、また可逆性であることが判明した。またCd^<2+>イオン(カルシウムチャネルブロッカ-)の局所投与実験により、カプサイシンの作用には、Ca^<2+>チャネルが関与していることが判明した。さらにテトドロトキシン(TTX)を用いた実験を行った結果、A線維群は50%以上抑制されるが、C線維群はほとんど抑制されない、つまり耐性を持っていることが解った。 以上の結果から、C線維の痛覚搬送には、カプサイシン感受性かつTTX耐性のCa^<2+>チヤネルの関与が示唆されるわけだが、引き続き作用機序の究明のデ-タを得るべく実験を行っている。それは,Ca^<2+>チヤネルにはSubtypeが存在することが指摘されており、それらはNー、Tー、Lーtypeであり、各々薬理学的性質に差異があることが知られている。つまり、薬物オメガコノトキシン(ωーCgTX)に対しては、Nー、Lーtypeが感受性を持ち(抑制される)、Tーtypeは感受性がなく、また薬物BayーKー8644に対しては、Lーtypeは感受性がある(増強される)が、Tー、Nーtypeは感受性がないことである。この二つの薬物を用いることにより、カプサイシン感受性の痛覚搬送C線維はどのタイプのCa^<2+>チャネルを持っているのか調べることが出来るわけである。
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