研究分担者 |
宮林 耕平 岩手医科大学, 歯学部歯科補綴学第一講座, 助手 (70219799)
児玉 厚三 岩手医科大学, 歯学部歯科補綴学第一講座, 助手 (40205414)
関合 正行 岩手医科大学, 歯学部歯科補綴学第一講座, 助手 (60179330)
川口 武美 岩手医科大学, 歯学部歯科補綴学第一講座, 助手 (10204695)
熊谷 啓二 岩手医科大学, 歯学部歯科補綴学第一講座, 講師 (30146097)
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研究概要 |
総義歯機能の総合した客観的な評価法を確立することを目的として,予後良好ないわゆる「よく噛める義歯」の咀嚼機能動態の本質を探るべき研究を行った。 予後良好な総義歯装着者50名および有歯顎者50名のEMG・SGG同時記録による咀嚼運動,咀嚼筋筋電図コ-ディネ-ションパタ-ンの分析結果から,咀嚼のリズム(時間要素)および咀嚼パタ-ンに義歯装着者特有のパラメ-タが見いだされた。すなわち咬合相時間の延長,最大開口量・最大開閉口速度の減少などに有為差を認め,また咀嚼運動パタ-ンは多様化した。これらの結果から,有歯顎者の咀嚼機能動態と総義歯装着者の咀嚼機能動態とは同一視できないことが示唆され,総義歯の咀嚼機能動態を再認識することは必要不可欠なことであると考えられる。 さらに,上記総義歯装着者50名のEMG・SGG記録デ-タより,予備実験において義歯の機能状態により変化しやすいパラメ-タ14項目を選択し,棄却限界法によりその値の正常範囲を求め咀嚼機能評価チャ-トを試作した。この咀嚼機能評価チャ-トに各種障害を与えた実験義歯のデ-タを代入した結果,従来報告されてきた咀嚼筋活動リズムの乱れのみならず下顎運動経路の乱れまでも評価でき,またその障害の種類・程度により咀嚼機能評価チャ-トに特徴的な変化が確認された。このことにより試作した咀嚼機能評価チャ-トは,筋電図学的検索のみでは評価し得ない包括的な咀嚼機能動態を評価し,正常域内か否かを視覚的かつ簡便に評価できることから,臨床応用への有用性が示唆された。今後これら基礎デ-タを基に臨床所見およびセファロ分析による顎態とを比較検討し,総義歯機能動態の客観的な評価法を確立する所存である。
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