研究分担者 |
遠藤 義樹 岩手医科大学, 歯学部・歯科補綴学第一講座, 助手 (70232999)
宮林 耕平 岩手医科大学, 歯学部・歯科補綴学第一講座, 助手 (70219799)
児玉 厚三 岩手医科大学, 歯学部・歯科補綴学第一講座, 助手 (40205414)
虫本 栄子 岩手医科大学, 歯学部・歯科補綴学第一講座, 助教授 (50131397)
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研究概要 |
総義歯治療の効果判定には,従来より咀嚼能率や咬合力測定のほか,下顎運動や咀嚼筋の筋電図分析から咀嚼運動のパターンやリズムなどが客観的評価法であるとして有歯顎者と同様に用いられてきた。しかし,咀嚼器官としてリファレンスをほとんど喪失した総義歯患者の咬合は術者が付与し,育成するものであること,および歯の欠損が漸次増加して無歯顎に至る過程における咀嚼系の形態的変化が神経筋機構に及ぼす影響はきわめて複雑で,無歯顎者の機能評価において無視できないことから,これらの方法で得られた結果は一断面の把握にすぎず,総義歯機能を評価するには不十分である。つまり,無歯顎患者の咀嚼運動機能の解析に際しては,1).頭蓋・顎・顔面形態の変化に伴う関連事項を把握した上で,しかも長期的観察に基づいて解析することが必須の条件であること,2).総義歯咬合の咀嚼運動制御機構における粘膜感覚(支持機構の質的条件)の役割の評価が必要なこと,3).歯の欠損増加過程における感覚フィードバックの変化が総義歯咬合にどう影響しているかを考慮する必要があること,などの問題が解決されなければならない。 以上の観点から,より普遍的な総義歯機能評価法の確立を目的として本研究課題を企画した。まず初年度に,総義歯装着者の咀嚼運動について下顎運動経路と咀嚼筋筋電図の同時記録から一般的な機能的特徴を有歯顎者と比較した。また,これらを顎態(X線セファロおよび顎関節規格写真)との関連で分析し,一方,義歯粘膜面の支持条件を実験的に変えてその外受容器からの末梢フィードバックの影響を明らかにする一連の研究も行った。次年度以降には,総義歯機能の経年的変化に顎態の及ぼす影響を長期的観察するとともに,3年目には無歯顎に至る過程における形態的変化に付随する神経筋機構の実態を明らかにするため大臼歯欠損や少数歯残存症例を追加し,顎態と機能の両面から分析した。
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