研究概要 |
現在市販のコンポジットレジンは重合時に収縮を起こし、内部応力を発生する。この重合収縮を膨張性モノマ-で補い、無収縮性あるいは膨張性コンポジットレジンを開発することを目的とし、本研究では2種の膨張性モノマ-を合成し、確認した。 [ウレタンビシクロオルソエステルの合成]ウレタンビシクロオルソエステルを合成するために、先ず1-エチル-4-ヒドロキシメチル-2,6,7-トリオキシビシクロ〔2,2,2〕オクタンを合成し、これに3-イソシアネ-トメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネ-ト(イソオロンジイソシアネ-ト)とトリメチルヘキサメチレンジイソシアネ-トを別々に反応させ、2種のウレタンビシクロオルソエステル(前者をIPDI-BCOE、後者をTMHMDI-BCOEと略す)を合成した結果、(1)IPDI-BCOEおよびTMHMDI-BCOEの収率はそれぞれ約82%および約78%と、高収率であった。(2)元素分析ではIPDI-BCOEの場合、Cが57.8%、Hが8.30%、Nが4.53%となり、TMHDMI-BCOEの場合、Cが58.2%、Hが8.10%、Nが5.00%であった。またIRおよび^1H-NMRスペクトルでは、それぞれウレタン結合および-NHに帰属するプロトンが確認できた。(3)2種のウレタンビシクロオルソエステルの特長は、IPDI-BCOEは白色の結晶であるのに対し、TMHMDI-BCOEは高粘性の液体であった。 [表面改質微球状フィラ-の作製および検討]振動ボ-ルミルおよび撹拌擂潰機で摩砕したα型石英は摩砕時間が長くなるにつれて結晶性を失うが、熱処理を施すことにより結晶性を回復することが分り、粒度分布をもつ0.5〜2μm程度の表面改質微球状石英を作製することが可能となった。
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