合成した2種の膨張性モノマ-(イソホロン基およびトリメチルヘキサメチレン基を有するウレタンビシクロオルソエステル)を希釈モノマ-(トリエチレングリコ-ルジメタクリレ-トならびにイソホロンジイソシアネ-トおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネ-トとヒドロキシエチルメタクリレ-トが1:2の混合物)との比率を変化させ、2種ノラジカル重合触媒を用いて、しかもベ-スレジンとなじみやすい約径1μm(粒度分布を有する)のα型石英の表面改質微球状フィラ-(75wt%一定添加)とを組合せ、無収縮性コンポジットレジンを試作し、それらの物性を比較検討した結果、次のような結論を得た。 1、ブチルパ-オキシマレイン酸・芳香族第3アミン・バルビッ-ル酸・トリメリット酸系重合触媒(BMA系触媒)および過酸化ベンゾイル・芳香族第3アミン・バルビッ-ル酸・トリメリット酸無水物系重合触媒(BPO系触媒)の場合、2種の膨張性モノマ-の添加量を20wt%以上にすると硬化時間は非常に遅延し、圧縮強さお培び引張強さが低下する傾向を示し、実用化が困難であった。 2、BMA系触媒の場合、2種の膨張性モノマ-の添加量が20wt%以下でも硬化時間が遅延した。しかし、BPO系触媒の場合、硬化時間は同一になり、圧縮強さおよび引張強さも5〜10wt%で最大を示した。 以上のことから、合成した2種の膨張性モノマ-のラジカル重合触媒には、BMA系触媒よりBPO系触媒の方が効果的であることがわかった。しかし、5〜10wt%の膨張性モノマ-の添加量では、コンポジットレジンの硬化時に発生する重合収縮を完全に補えず、完全な無収縮性コンポジットレジンを開発することができなかった。無収縮性コンポジットレジンを実用化するためには、他のラジカル開環重合性モノマ-および硬化時間を短縮する高活性触媒の開発など多くの検討が必要である。
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