本研究は顎関節症患者の咀嚼時咀嚼筋の左右両側性協調様式を筋電図学的に各種分析処理法を用いて、筋活動の協調パタ-ンから診断を行うことおよびその画像表示によって診断の基準化およびデ-タベ-スへの資料収積・格納を目的としている。 そこで、まず顎関節症患者の咀嚼筋活動の協調パタ-ンの特徴を求めるため、本年度に30齢の咀嚼時咀嚼品の節電図と顎運動を記録した。 診断用コ-ド化の方法を確立するために、節電図波形の分析処理法としては、従来から行っている方法(EMG burstの時間的要素、とくに歯牙接触時点の前後の持続時間、それらの積分電位、Silent periodの潜時、持続時間、発現頻度など、EMGburstの周波数分析)に従って分析を行ったほか、ジクナルプロセッサ7T17を用いてSignal basic により、EMG波形のデジタル化し、種々の診断用コ-ド化を試みて、有用なパタ-ン表示を検討した。 このため、本年度に申請したEMG To pograbhy No103を本研究目的に沿ってソフトを修正、改造し、EMG積分電位の左右両側性の咀嚼筋(咬筋、側頭筋)活動の協調様式のパタ-ン化を一部完成した。 また、本ソフトを用いて基準値とするために集積した顎関節症患者のデ-タを順次、パタ-ン化して、すでに集積ずみの正常者の同パタ-ンのデ-タを比較し、正常と異常パタ-ンの区別についての検討を一部行った。 なお、問題点として、顎機能異常者のEMG波形は複雑であり、クリア-カットでないことが多いため、ディジタル化されたデ-タの精度面での検討をはじめ、パタ-ン表示化のための具備条件をさらに検討することの必要性の大きいことがあげられ、次年度でこの点を統計的手法を用いて完成させてゆく予定である。
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