研究概要 |
市販ボンディング剤の象牙質への浸透性と接着性の関係について検討するために,比較的良好な接着性を示す光重合型ボンディング剤のうち,Pboto clearfil Scotch bond Restbondの3種を選び,象牙質への接着力の測定,接着界面のSEM観察,Cl,Ca,Pの分布のEPMA分析および接着試験後のResinおよび象牙質表面のSEM観察を行った。接着界面のSEM観察から3種とも耐酸性象牙質層と思われる厚さ1〜2μの層が認められた。そこで,pbots clearfil,Scotchbondの場合はボンディング剤に,Restobondの場合はシ-ラ-にTracerとして,2,4,6tricblorophenoxy methacrylate,を添加した。そして,これらボンディング剤やシ-ラ-を用いて試料を作製し,接着界面のCl,Ca,Pの分布をEPMAより分析したところ、耐酸性象牙質の存在が3種とも認められ,その層の厚さはいずれも近似しており,3〜4μであった。この様に各種ボンディング剤の象牙質への浸透性に相違が認められなかったが,接着力には相違が認められScoth bondはその他のものより有意に低かった。また,接着力が高くなると,接着界面での破壊は主にresinや象牙質の凝集破壊が起こり,その他は主に界面剥離であった。以上の結果より,本研究に使用したボンディング剤に関しては浸透性と接着力には相関がないことが明らかとなった。また,Tracerが接着力や耐酸性象牙質層形成に及ぼす影響を検討した結果,何ら影響がないことも明かになった。
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