研究概要 |
口腔癌の治療に抗T細胞(CD3)抗体およびIL2で活性化されたリンパ球(CD3・LAK細胞)を用いた養子免疫療法を行う際,化学療法および放射線療法と併用して行われる場合を想定し,化学療法剤および放射線照射が本細胞の増殖反応および細胞障害活性に及ぼす影響について検討を行った。さらに,より強い細胞障害活性を持った細胞を大量に誘導するために,各種サイトカインおよびOK432等のBRMが細胞に及ぼす影響について検討した。また各種培養液,培養BAGについても比較検討した。1.CD3・LAK細胞に化学療法剤(CDDP,5ーFU,MTX,PEP,BLM,ADR)の添加,および放射線照射(1.25,2.5,5.0,10.0,20.0Gy)を行い,それぞれが細胞に及ぼす影響につき,細胞増殖反応および細胞障害活性を測定し検討した。その結果,CD3・LAK細胞の増殖反応は放射線照射および化学療法剤により抑制された。しかし細胞障害活性については,放射線照射および化学療法剤の影響をほとんど受けなかった。この結果より,CD3・LAK細胞による養子免疫療法は,放射線照射および化学療法との併用効果が期待できるものと考えられた。2.CD3・LAK細胞に及ぼす各種サイトカインの影響を検討した。増殖反応は,rILー2が低濃度の場合にのみrTNFーαの添加により増強された。rINFーγ,rGーCSF,rILIーα,rIL1ーβの添加では,細胞増殖反応に明らかな影響はみられなかった。いずれのサイトカインも細胞障害活性には明らかな影響を及ぼさなかった。CD3・LAK細胞誘導初期のOK432の添加では,その細胞増殖パタ-ンに明らかな影響はみられなかったが,細胞障害活性は有意に増強された。このことより,OK432添加CD3・LAK細胞は養子免疫療法に用いる細胞としてより有用であると考えられた。また各種無血清培地およびGasーPermiable Bagを用い,CD3・LAK細胞の細胞増殖パタ-ンおよび細胞障害活性を測定し比較検討した結果,いずれも良好であり差異はみられなかった。
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