ハムスタ-頬のうへの移植癌を用いたリンパ節転移の実験より以下の結果を得た。 1.頬のう移植癌の浸潤先端の組織所見 移植癌の浸潤先端は分化型癌にみられる膨脹性辺縁ではなく個々の細胞が遊離したび慢性辺縁を示しこれが高い転移率の理由と考えられる。電顕的には浸潤先端では基底膜の部分的な破壊消失又、間質変化としてコラ-ゲン線維の消失がみられた。浸潤先端近傍には明らかなリンパ管浸潤が認められ、腫瘍塊(10〜20個の細胞)がリンパ管内に塞栓されていた。このようなリンパ管内腫瘍塞栓はよくみられる所見であるが、癌細胞の直接的なリンパ管壁侵襲や破壊によるリンパ管内への侵入像は認められなかった。電顕上でも癌細胞によるリンパ管内皮細胞の破壊や変性所見はなく明確な侵襲過程をみることができなかった。しかし腫瘍塞栓部分のリンパ管内皮細胞間に癌細胞の付着がみられたことからリンパ管内皮細胞間接合部からの侵入を考えられた。 2.頬のう移植後5週で腫瘍径が10mmとなり、リンパ節転移が認められるようになる。本モデルの転移形成時期は移植後5週と考えられた。腫瘍塊が輸入リンパ管内に認められることより輸入リンパ管への着床がリンパ節転移の初期像と思われた。リンパ節内での腫瘍進展は辺縁洞、髄洞への拡大であり輸出リンパ管、血管侵襲を認める時期には血行性転移と思われる肺転移がみられるようになる。
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