1.ヒト脱灰象牙質基質の軟骨誘導能:(1)Uristの方法に準じて、ヒト新鮮抜去歯牙からtooth matrix gelatin(TMG)を作製し、細切したラット胎仔大腿筋とともにin vitroで培養した。(2)培養2週間で歯と筋組織に接する部位に軟骨の形成が見られ、4週間で軟骨はさらに増加したが、骨組織は形成されなかった。(3)ラット切歯から作製したTMGによってもin vitroで軟骨の形成が見られた。(4)ラットTMGをラット大腿筋内にin vivoで移植すると、同部に異所性の骨形成を見た。(5)ヒトおよびラットTMGは4M塩酸グアニジンで抽出すると軟骨形成能は消失した。(6)軟骨形成に先立ちalkaline phosphatase(ALP)活性が上昇するが、形成された軟骨基質内にはその活性は見られなくなった。(7)このALPは加熱(56℃、30分)により失活することから骨形成に関与するALPと同一のものと考えられた。 2.軟骨誘導能のbioassay:上記のin vitro培養系を用いて、ALP活性および^<35>S-H_2SO_4の取り込み量を測定することにより軟骨形成能の定量的測定を可能にした。 3.ヒト歯牙からの骨誘導蛋白質の精製:ヒトTMGから4M塩酸グアニジンで抽出後、各種のカラムクロマトグラフィ-(ハイドロキシアパタイト、ヘパリン-セファロ-ス、S-200など)を用いて精製中である。 4.ヒト歯牙由来の精製誘導蛋白と多孔質ハイドロキシアパタイトとの複合体による骨または軟骨誘導:十分量の精製骨形成性蛋白質が得られ次第、in vitro培養系で行い臨床応用への道を開く予定。
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