研究概要 |
歯科矯正学分野では,骨のダイナミックな特性を利用して,顎顔面部の成長発育の制御を試みたり歯の移動等を行っているが,生理的な骨改造機構の詳細な機序については未だ不明な点が多い。特に骨形成と骨吸収を制御していると考えられている骨芽細胞と骨髄細胞の相互作用因子についての知見は少ない。そこで,マウスの骨芽細胞(1×10^5 cells)と骨髄細胞(1×10^6 cells)をMillicell(Millipore社)を介してcoーcultureすることにより,骨改造機構におけるこれらの細胞の分化と増殖に対する相互作用因子の影響を調べた.その結果,骨芽細胞とcoーcultureした骨髄細胞では,培養3日目から細胞数およびcellular DNA合成の著明な増加が認められた.また,4日間骨芽細胞とcoーcultureした骨髄細胞を細胞分化抗原のモノクロ-ナル抗体を用いてFACSで解析すると,増殖た細胞はMacー1およびLFAー1抗原陽性細胞であり,しかもこの細胞群より多数の破骨細胞が形成された.次に,骨芽細胞のALPase活性は,骨髄細胞とのcoーcultureにより培養3日目から明らかに抑制された.以上の結果より,骨芽細胞と骨髄細胞は両者の分化機能をコントロ-ルする因子を相互に産生していることがわかった.このことより,生理的な骨改造機構は骨芽細胞と骨髄細胞の相互作用因子により制御されていることが示唆された.
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