研究概要 |
前年度の本研究で,骨芽細胞と骨髄細胞をcoーcultureすると骨髄細胞からMacー1^+LFAー1^+細胞がクロ-ナルに増殖し,かつ,骨芽細胞のALPase活性が抑制されることを明らかにした.平成2年度は,これらの細胞から産生される因子の性状を解析すると共に,骨芽細胞とcoーcultureした骨髄細胞に活性型Vit.D_3を用いて破骨細胞の誘導を試み,以下のような結果を得た. 1.骨芽細胞と骨髄細胞とのcoーculture上清にみられるMacー1^+LFAー1^+細胞増殖因子とALPase活性抑制因子を詳細に検討すると,Macー1^+LFAー1^+細胞増殖因子は骨芽細胞のみの培養上清にも認められたが,ALPase活性抑制因子は骨芽細胞と骨髄細胞のcoーculture上清にのみ示された. 2.両細胞のcoーculture上清を限外濾過膜で濃縮後,ICー2cell(GMーCSFとILー3に依存して増殖するクロ-ン細胞)に添加培養し,DNA合成により調ベたが,有意なGMーCSFもしくはILー3活性は認められなかった. 3.濃縮液を培養直後と7日間培養後の骨芽細胞に添加して経日的に細胞内ALPase活性を測定したところ,骨芽細胞のALPase活性抑制因子は,ALPase活性を阻害するものではなく,新たに合成されるALPaseを抑制することが示唆された. 4.骨芽細胞とcoーcultureした骨髄細胞に活性型Vit.D_3を添加して培養すると多核のTRーACPase陽性の破骨細胞様細胞が形成された. 以上の結果より,破骨細胞の誘導機構には骨芽細胞と骨髄細胞の相互作用が密接に関与していることが明らかになった。
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