電極反応は、無公害プロセスとして重要な反応である。申請者は、これまで、電極反応を有機合成に取り入れるべく検討し比較的複雑な系にこれを利用できる事を示してきた。特に非コルベ型の反応を利用し、単環性βラクタムの4位にアセトキシ基を導入する方法を確立し、光学活性なチエナマイシンを合成するうえで重要な中間体である4ーアセトキシー3ーハイドロキシエチルー2ーアゼチヂノンや、(+)ーPSー5の合成に成功した。そこで本反応をγーラクタムの合成に応用すべく研究を開始した。ピログルタミン酸(1)をAcONaを支持電解質としてAcOHーCH_3CN中で陽極酸化を行なったところ高収率で2ーアセトキシピロリドン (2)が得られた。本化合物は不安定であるが、単離することが出来2位に種々の官能基を導入するうえで極めて重要な化合物である。既にこの位置に酸素官能基を導入出来る事は、報告しているが、今回窒素のαー位にカルバニオンを導入することを試みた。3から誘導された4に対して陽極酸化を行なったところ良い収率で5が得られた。5をTiCl_4で処理したところインドリチジン6が得られた。このように窒素のαー位に様々な官能基を導入するためには、陽極酸化は非常に効果的であり、γラクタム誘導体を合成する道をひらく事が出来た。
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