研究概要 |
本研究では近年単離構造決定された以下に示される新規生物活性含窒素脂肪族化合物の合成を著者らの開発したニトロエタノ-ルを合成子とする反応を用いて検討した。 1)蕃杏(ツルナ)の抗潰瘍活性物質セレブロサイドBla(la)の合成 著者らの開発したスフインゴシンの簡易合成法に基き、共役アルデヒドとニトロエタノ-ルのアルド-ル反応で立体的選択にニトロジオ-ルを得、acetonideに導いた。ニトロ基の環元後(R)の光学活性なαーヒドロキシ脂肪酸と反応させて光学活性セラミドに導いた後グリコシル化を行ってlaを合成した。これによって同時にlaの絶対構造も決定した。 2)イソギンチャクより単離されたエリスロ-ドコサスフインガ-4,8ージエニン(2)の合成 2はチェニジア近海で採取したイソギンチャクAnemonia sulcataの繊毛より単離されたセラミドである。laの合成と同様にeicosaー2(E),6(E)ーdienal(3)とニトロエタノ-ルとのアルド-ル反応を利用し光学分割する方法(path A)と不斉合成(Path BとPath C)の三経路による光学活性スフインガジェニン(2)の簡易合成を行いその絶対構造を決定した。 先ずlaの合成と同様に3とニトロエタノ-ルとのニトロアルド-ル反応でニトロジオ-ルを得、acetonideとした後環元ラウロイル化、脱保護して目的のスフインガジエニン(±)ー2をラセミ体として合成し光学分割により(+)および(-)2を得た。 一方キラルなオキサゾリジンのボロンエル-トと3を用いる不斉アルド-ル反応(Path B)とLーセリンより誘導されるLーセリナ-ルとリチオアルキンの立体選択的付加反応(Path C)を用いて化学活性な2を合成した。 3)カルモジュリン拮抗作用を有する抗腫瘍性ピペリジンアルカロイド、プソイドデストミンAおよびBの合成 所定の位置に3つの置換基を有するピペリジン環の立体選択的な合成法を確立した。またモデル化合物で2位のアルキル側鎖の導入を検討した。 4)シアリタ-ゼ阻害作用を有する光学活性5ーアセトアミドー4ーヒドロキシピペコリン酸(5)の合成 シアリダ-ゼ阻害物質5を4の合成法に準じて、光学活性体として合成した。
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