研究概要 |
1.インドネシア産薬用植物Swietenia mahagoniの種子より単離した28種類のリモノイド類について,血小板凝集阻害活性を検討した。先ず,in vitroでの血小板凝集阻害活性は,Drummondらの方法により血漿中に放出されたセロトニンを測定することにより凝集阻害活性を求めた。その結果,3ー0ーacetylswietenobide,6ー0ーacetylswietenobite,swietemahonin A,D,E,Gなどに比較的強い血小板凝集阻害作用が認められた。次にこれらのリモノイド類と,現在強い血小板凝集阻害物質として知られている天然物Kadsurenoneとの阻害作用の比較を行ったところ,我々が単離した化合物のうち最も強い凝集阻害作用が認められたswietemahonin Aでも,Kadsurenoneの約30分の1程度の凝集阻害作用しか認められなかった。しかしながら,マウスにおけるin vivoでの血小板凝集阻害作用を検討したところ,Kadsurenoneにはほとんど阻害作用が認められなかったのに対し,我々が単離したSwietemahonin A,Eなどのリモノイド類では,in vivoで血小板凝集阻害作用を示すことが明らかとなった。このことから,リモノイド類は血小板凝集に起因する疾患の予防,治療薬として期待される。また,Swietenia mahagoniの種子のエ-テルエキスについて,さらに詳細な検索を行ったところ,mahagoninと命名した新規2量体リモノイドが単離され,2次元NMRならびに化学合成によりその構造を決定することができた。なお,mahagoninのような2量体リモノイドが天然から得られたのは今回が初めての例である。このリモノイドについての血小板凝集阻害作用については,現在検討中である。 2.ショウガ科植物Curcuma xantholizaの5ーlipoxygenaseに対する阻害活性成分は,微量でしかも精製困難な化合物であり,現在分取HPLCにて純粋な物質を得るべく検討中である。
|