柳沢らにより発見された血管収縮ペプチド、エンドセリンに関して、エンドセリン1、エンドセリン2、エンドセリン3の3種類のアイソペプチドの存在が明らかになった。またエンドセリンの産生について、翻訳後のビックエンドセリンから変換酵素によりエンドセリンプロセッシングされる知見も出された。本研究は下記に示すように新しく開発したトリフルオロメタンスルホン酸銀を用いるシステインSー脱保護法及び二段階階ハ-ド酸脱保護法を用いてこれら一連のペプチドを化学合成し、エンドセリンの生理的意義の解明に寄与した。 1.エンドセリン1の合成システインの側鎖保護基にトリフルオロメタンスルホン酸銀で除去可能なアセトアミドメチル基を用い、Boc固相合成法で合成した。 2.エンドセリン2、エンドセリン3、ビックエンドセリン1の合成システインの側鎖保護基にトリメチルシリルブロマイド法で除去可能なメトキシベンジル基を用い、Fmoc固相合成法で合成した。 3.ビッグエンドセリン1及びエンドセリン1のC末端をいろいろな長さ延長した誘導体の合成 システインの側鎖保護基にメトキシベンジル基を用い、Boc固相合成法で合成した。これらの合成品のラットへ反復投与したところ、どのペプチドもエンドセリン1とほぼ同程度の容量依存性の血圧上昇効果を示した。この結果により、ビッグエンドセリン1及びエンドセリン1のC末端を延長した誘導体は動物体内で直接エンドセリン1にプロセッシングされる可能性が示唆された。
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