研究概要 |
ラクト-N-ヘキサオ-スの合成としては、まず、ベンジル β-ラクトシド(1)にジブチルチンオキシドとアリルブロミドを用いたC-3'位の選択的アリル化に成功(収率66%)し、次にC-4'と6'位をベンジリデン基で保護した後、ベンジル化し、ベンジル 3'-O-アリル-2,2',3,6-テトラ-O-ベンジル-4',6'-O-ベンジリデン-β-ラクトシド(2)を得た。(2)のベンジリデンセタ-ルを水素化リチウムアルミニウムと塩化アルミニウムで開裂し、C-6'位に遊離の水酸基を有するglycosyl acceptor(3)を得た。(3)に研究代表者らの開発した新しいル-ト(Chem.Pharm.Bull.,27(1979)721)で調製したN-アセチルラクトサミンのオキサゾリン体を1,2-ジクロロエタン中p-トシル酸触媒下、60℃で13時間反応させ、四糖(5)を55.1%の収率で得た。次に、(5)のアリル基を95%エタノ-ル中酢酸ナトリウムの存在下、塩化パラジウムを用いて除去し、この位置に、文献既知のラクト-N-ビオ-スIのオギサゾリン体を1,2-ジクロロエタン中p-トシル酸の存在下、60℃で17時間反応させ、六糖(6)を33.5%の収率で得た。(6)のベンジル基礎を接触還元で除去後、無水酢酸とピリジンでアセチル化し、ラクト-N-ヘキサオ-スの完全アセチル化体(7)を80.8%の収率で得た。(7)を無水メタノ-ル中ナトリウムミトキシドを用いて脱O-アセチル化し、目的としたラクト-N-ヘキサオ-ス(8)を97.6%の収率で得た。このようにして、当初の計画通り、ラクト-N-ヘキサオ-スを合成することができた。2年度は、バラ-ラクト-N-ネオヘキサオ-スの合成を行う予定である。
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