研究概要 |
前年度に引き続き,N^+ーCHRーSiMe_3結合を持つベンジルアンモニウム塩にCsFをDMFやHMPA等の溶媒中で反応させてCーSi結合を切断しベンジルアンモニウムイリドを発生させ,その反応挙動を調べた。 1. 2ーPheny1ー1ー(trimethylsilyl)methylーcycloammonium塩とCsFの反応を5〜7員環アンモニウム塩につき検討した。その結果生成する5〜7員環イリドはそれぞれベンゼン環オルト位へ[2,3]シグマトロピ-転位して共役トリエン構造を持つ6員環と8〜10員環アミンの縮合環状化合物が何れの場合にも高収率で得られた。これらの化合物のうち9員環アミンを含む化合物は特に安定でDielsーAlder反応により多環状アミンへ転換できた。これらの化合物は何れも新規な化合物で,生理活性に興味がもたれる。 2. αーSubstituted NーmethylーNー[(trimethylsilyl)methyl]benzylーammonium塩とCsFの反応。この反応から生成するイリド,αーsubstituted Nーmethylbenzylammonium Nーmethylideが[2,3]シグマトロピ-転位して生成するトリエン化合物,5ーalkylideneー6ー(dimethylamino)methylー1,3ーcyclohexadieneは安定で,多環状化合物の合成中間体として利用可能であった。しかし,αー置換基がメチル基の時はHofmann脱離生成物の副生が多く合成手法としては問題が残った。
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