研究概要 |
本研究の最終年度にあたる本年度には以下に示すような成果が得られた。前年度までに得られた成果と総合すると、本研究の当初の目的をほぼ達成することができた。 1.先に申請者はヒスタミンの特異的高感度蛍光定量試薬として4(用手法)ーbromoー1,2ーbenzenedicarbaldehyde(BBDA)を見い出し、前年度には生体試料中のヒスタミンの蛍光定量法を開発したが、本年度はBBDAのヒスタミンに対する高い特異性を最大限に生かす目的で、フロ-インジェクション分析法(FIA法)への適用を検討した。その結果、検出限界(S/N=5)を0.5pmol/injectionとするヒスタミンの高感度、高速分析法を開発することに成功した。本法では一時間あたり40サンプルの連続分析が可能であり、簡易な前処理と組み合わせることにより、生体組織や血清中のヒスタミンの実用的測定法として利用できる。 2.グルタチオンの特異的蛍光定量試薬として申請者が開発した2ーacetylbenzaldehyde(ABA)を利用して、同様にFIA法によるグルタチオン高感度、高速分析法を確立した。本法では一時間あたり40ー50サンプルの連続分析が可能であり、検出限界(S/N=5)も0.4pmol/injectionと高感度である。 3.セロトニンなどの3、5ー二置換インド-ルの選択的蛍光試薬として2,3ーnaphthalenedicarbaldehydeを見い出し、6MHCl中、室温30分間の反応を利用するセロトニンの蛍光定量法(検出限界、50pmol/ml)を開発した。一方、3位ー置換インド-ルの選択的蛍光定量試薬としては2,5ーdimethoxytetrahydrofuranを開発し、この試薬を用いるトリプトファン定量法(40%硫酸中、室温20分)を確立した。本法は、アミノ酸混合物中のトリプトファンの選択的定量および血清中のトリプトファンの簡易定量に利用できる。
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