研究課題/領域番号 |
01571176
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
寺崎 哲也 金沢大学, 薬学部, 講師 (60155463)
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研究分担者 |
佐藤 均 金沢大学, 薬学部, 助手 (40187224)
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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キーワード | 血液-脳関門 / ペプチド / エンドサイト-シス / デリバリ- / 抗痴呆薬 / 鎮痛薬 / 脳毛細血管 / 血液-脳脊髄関門 |
研究概要 |
本研究では、アルツハイマ-の有望な治療薬として注目を集めている副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)様ペプチドebiratide(構造式1)とダイノルフィン様鎮痛ペプチドDLAP(構造式2)をモデル基質として、in vitro及びin vivo実験系を用いて中枢作用型ペプチドのエンドサイト-シス機構の解明を行なった。 両ペプチドはクロラミンT法で^<125>Iラベルして実験に用いた。牛脳毛細血管(B-cap)を用いたmild acid wash法でebiratideの内皮細胞内への内在化量と表面結合量を測定した。EbiratideのB-capへの取り込みは時間依存的、温度依存的、濃度依存的、浸透圧依存的であった。さらに、エンドサイト-シス阻害剤のdansylcadaverinによって著しく阻害された。また、ACTH及び塩基性ペプチドのpoly-L-lysine,protamineによって阻害された。以上のことから、既に報告したDLAPと同様に、ebiratideは血液-脳関門をabsorptive-mediatedエンドサイト-シスすることが明らかになった。一方、in vivo系においても極めて安定なDLAPについて脳移行ル-トについて検討した。毛細血管沈澱法を用いたところDLAP脳毛細血管分画に比べて実質細胞分画の方に多量に存在した。さらに、脳微小透析法を用いて脳細胞液中DLAPの濃度を測定したところ脳脊髄液中濃度の100倍も高かった。従って、DLAPは血液-脳脊髄関門ではなく、血液-脳関門を介して脳内へ移行していることが明らかになった。 以上の検討結果から、absorptive-mediatedエンドサイト-シス機構の利用は脳へのペプチド・デリバリ-において有用であることが示された。本研究成果をもとに、今後、中枢作用型ペプチドのデリバリ-研究が飛躍的に進歩するものと思われる。 構造式1 H-Met(O_2)-Glu-His-Phe-D-Lys-Phe-NH-(CH_2)_8-NH_2 構造式2 H_3C-Tyr-Gly-Gly-Phe-Leu-Arg-CH_3Arg-(D)Leu-NHC_2H_5
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