胎児性胆汁酸を指標とする先天性肝胆確疾患診断法の開発

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01571182
• 研究機関: 東日本学園大学
• 研究代表者: 池川 繁男 東日本学園大学, 薬学部, 助教授 (90111301)
• 研究分担者: 藤間 貞彦 東日本学園大学, 薬学部, 教授 (30001043)
• キーワード: 先天性肝胆道疾患 / 胎児性胆汁酸 / イムノアッセイ / Tauroー1βーhydroxycholic acid

研究概要

Tauroー1 βーhydroxycholic acid (TauroーCAー1 βーol:1)の“ブリッジヘテロロ-ガス"酵素イムノアッセイ(EIA)を確立すべく、17位アルキル側鎖の炭素鎖長の異なる2種のハプテンを用いて抗血清を作成し、〔^3H〕ーRIAにおける特異性を検討するとともに尿試料への適用を試みた。【抗TauroーCAー1βーo1 抗血清の調製】1の17位アルキル側鎖は各種胆汁酸に共通の部分構造であるうえ、ハプテン分子の特徴的な母核構造から遠く離れた位置にあり、特異抗体の作成上有利と思われる。そこで、EIAへの展開をも考慮し24位グリシンおよびβーアラニン誘導体をハプテンとしてウシ血清アルブミン結合体を調製し、ウサギの背部皮下に反復投与して抗血清を得た。【抗血清の特異性】特異性に優れるEIAの確立には、トリチウム標識抗原を用いるRIAで特異性が保証されることが必要とされる。そこで、標識抗原として【2ー^3H】tauroーCAー1βーo1を合成し、近緑胆汁酸との交差反応性試験により特異性を検討した。その結果、各抗血清はいずれも満足しうる至適希釈曲線を与え、用量作用曲線の感度(約50ー20000 pg)も良好であり、親和定数も高い値(1.25〜1.46×10^9M^<-1>)を示した。コ-ル酸、ケノデオキコ-ル酸の体液中レベルは胎児ー新生児期にはCAー1βーo1とほぼぼ同量に達し、アッセイの妨害物質となるが、いずれの抗血清も0.05〜0.94%と無視しうる低い交差反応性であった。これに対しglycoーCAー1βーo1とは100%近い反応性を示し、ハプテンのキャリア蛋白とブリッジ部位が17位アルキル側鎖に起因した結果が得られた。これらの結果、グリコ体をも含めた抱合型CAー1βーo1の測定には十分満足しうるものと思われる。そこで良好な結果を示した抗血清を用い、未熟児、健常女子、妊婦尿中レベルの測定を試みたところ、胎児一新生児期における胆汁酸の特徴的な1β水酸化代謝経路の存在を支持する結果が得られた。

研究成果

• [文献書誌] Shigeo Ikegawa: "Quantitative Determination of Conjugated Fetal Bile Acids in Urine by Chemiluminescence HighーPerformance Liquid Chromatography" Journal of PharmacobioーDyanamics. (1991)
• [文献書誌] Shigeo Ikegawa: "Radioimmunoassay of Conjugated 3β,12αーDihydroxyー5ーcholenー24ーoic Acid" Chemical & Pharmaceutical Bulletin. (1991)
• [文献書誌] Shigeo Ikegawa: "Concentration of Conjugated 1βーHydroxycholic Acid in Human Urine as determined by Specific RIA" Chemical & Pharmaceutical Bulletin. (1991)
• [文献書誌] Shigeo Ikegawa: "Radiommunological Determination of Tauroー1βーhydroxyーcholic Acid in Human Urine" Chemical & Pharmaceutical Bulletin. (1991)
• [文献書誌] Shigeo Ikegawa: "Analysis of Conjugated Fetal Bile Acids in Human Urine by HighーPerformance Liquid Chormatography" Journal of Chromatography. (1991)
• [文献書誌] 日本分析化学会北海道支部編: "膜と界面" 学会出版センタ-, 322 (1990)