研究概要 |
本研究を達成するために,次の4項目を検討した。 1.秀れた性能のフッ素選択的吸着樹脂の開発とその評価.2.吸着されたフッ素を溶離し,フッ素吸着樹脂を再生する方法の開発.3.妨害イオンの除去法の開発.4.フロ-インジェクション分析システムの開発.これらに関して次のような成果を得た.1.について:アリザリンフルオラインブル-(AFB)及びそのスルホン酸誘導体と希土類元素からなる金属錯体などを,研究代表者が考案した方法によって,陰イオン交換樹脂に固定化することにより,新規フッ素吸着剤を開発した.【FluorideおよびReactive Polymers 掲載】.また,樹脂内におけるAFBの金属錯体とF^ーとの三元錯体生成反応を解析し,樹脂の性能と平衡定数の大きさが密接に関連していることを明らかにした.2.について:希アルカリ溶液を用いてフッ素を溶離することにより,樹脂が再生できることを明らかにした.【Reactive Polymers 掲載】 3.について:フッ素分析の際,常に問題となるAl^<3+>の妨害を除去するために,デスフェリオキサミン(DFO)が有効であることを認め,DFOを超微量フッ素の定量に応用し【Fluoride 掲載】,さらに,DFOを固定化したAl除去用樹脂を調製した.4.について:新規フッ素吸着樹脂を充填したミクロカラムを組み込み,フロ-インジェクション分析システムを試作し,超微量フッ素の迅速定量が可能であることを明らかにした.【Analyst 掲載】.本研究で得たフロ-分析システムを実試料に適用するための条件を,現在,環境および生物試料を用いて検討中である.また,これら実試料についてはガスクロマトグラフ(GC)法と比較するため,まず,GC法の検討を行い【Biomed.Res on Trace Elements 掲載】,本システムで得た結果と合わせて検討中である.
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