ラット肝の種々の細胞下画分にジアシルグリセロ-ル(DG)リパ-ゼの活性が存在することを見出し、すでにその性質一部を明らかにしている。本年度は肝細胞質画分よりDGリパ-ゼの精製を試み、以下のとおりさらに詳細な検討を加えた。 肝細胞質画分のDGリパ-ゼについてDEAEーセルロ-ス、ヘパリンセファロ-ス、ConAーセファロ-スの各カラムクロマトグラフィ-を順次行うことにより、高度に精製することに成功した。最終標品はSDSーPAGEで分子量約3万1千の位置に主要バンドを示し、純度は90%以上であると推定されたが、このほかにもきわめて薄い数本のバンドが認められた。また、部分精製標品の性質を検討したところ、次のような結果が得られた。(1)至適pHは約9.5(2)Zn^<2+>イオンにより強く阻害される (3)フッ化カリウムやセリンエステラ-ゼの阻害剤であるDIFPやPMSFの添加で活性が著しく低下する (4)トリトンXー100、デオキシコ-ル酸ナトリウムなどのディタ-ジェントおよび血清の添加で活性が促進される (5)最終標品の活性は非常に不安定であるが、ウシ血清アルブミンの添加で安定化する。 一方、SDSーPAGEのゲルより電気泳動的に31kバンド(DGリパ-ゼ)を溶出し、これを抗原としてウサギで抗DGリパ-ゼ抗体を調製した。現在、この抗体を用いて免疫学的手法によるDGリパ-ゼの性質、生体内分布、生理的役割等の検討を行っている。
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