研究概要 |
1.海馬Zn^<++>結合蛋白の解析: 限外3過去によりラット海馬上清分画中にZn^<++>結合蛋白の存在を見い出し、その蛋白からのZn^<++>の解離を解析した。Zn^<++>の解離は蛋白濃度、時間に依存しており、Lーグルタミン酸(ー100μM)により立体特異的に促進された。この作用は既存のグルタミン酸受容体反応を介するものではなかった(発表論文1) 2.プロテインキナ-ゼC(PKC)の細胞内移動とZn^<++>: PKCの細胞内移動は種々の細胞反応に直接関わる重要な情報受容機として確立されつつある。Zn^<++>はCa^<++>と同様に神経膜へのPKC結合を促進した。又、シナプトゾ-ムを用いた系において、NMDA、Ca^<++>イオノフォア、高K^+などの刺激によりPKCが細胞質から膜に移動することを見い出した。Zn^+のキレ-タ-として知られているTPENによりこれらの反応は阻害されることから、細胞内ではCa^<++>よりもむしろZn^<++>が生理的反応に応答してPKCの細胞内移動をおこすことを見い出した(発表論文2) 3.Zn^<++>によるグルタミン酸遊離調節: Zn^<++>のキレ-タ-であるジチゾンが海馬切片からのグルタミン酸遊離を促進すること、一方、Zn^<++>は逆に阻害することを明らかにした。これらの知見からZn^<++>がグルタミン酸神経においてグルタミン酸動態に関与することを示した。更にジチゾンを微量に海馬注入することにより、種々の神経伝達物質の中でグルタミン酸のみが減少することを明らかにした。本条件によりグルタミン酸涸渇ラットの作成の可能性が示された(発表論文3,4)
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